ネットで薬大競争へ



一般用医薬品(大衆薬)のインターネット通販規制を巡る法廷闘争が11日、最高裁判決で決着した。
対面販売を原則とする厚生労働省令は違法とされ、規制は事実上白紙に戻った。

最高裁判決を受け、原告のケンコーコムは1類と2類のネット販売を再開した。
国を相手取り行政訴訟を行った背景は「薬は究極のロングテール商材」との見立てがある。
大衆薬メーカーの業界団体、日本OJC医薬品協会によると、大衆薬は国内で1万2千品目が流通しているが、ドラッグストアの店舗では300種程度しか扱えない。
一方、ケンコーコムの取扱は4500。
法廷闘争した3年半の間にネット通販の市場規模は4割増の8兆5000億円に拡大し、スマホ経由も1兆円を突破した。
ケンコーコムでは今後、スマホアプリやテレビ電話システムで「対面販売」を実現する手法を検討する。
大衆薬市場のネット販売比率は1%にも満たないが、将来的には2割になるとみている。

今回の解禁でアマゾンジャパンも大衆薬取り扱いの検討をはじめるなど、競争状態も大きく変わる。
ネット通販需要は買い置きが中心で、当日配送のニーズは低いとの見方もあるが、物流網を生かした低価格や無料の当日配送という利便性を打ち出せば市場の変化は起こりうる。
もともと利益率の高い薬は価格引き下げ余地が大きく、今後は価格見直しも狭われるかもしれない。

現状で、他の業態に比べ、ドラッグストアのネット通販比率は低いが、今回の判決を受け、大衆薬のネット通販の強化を図っていく模様。
改正薬事法施工前は、少数の薬剤師が電話応対して販売することも可能だったが、この状態に戻れば、資格者の少ない企業にも参入障壁が下がり、販路拡大の道が開ける。
薬剤師のコールセンター設置を検討する企業もあり、他社の応対業務を委託するようになれば、委託先は容易に大衆薬販売が可能だ。

今回の判決で、改正薬事法に既定のない「対面販売」を前提にネット通販を省令で規制することが違法だと認定された。
ただ、安全性確保の視点はおざなりにできない。
大衆薬販売の新ルール造が今後の焦点だ。
医薬品販売資格の不正受験問題も発覚し、小売業の現場が、安全性よりも利便性の重視に偏りがちな実情が浮かび上がった。

国は医療費削減のため、医療用医薬品から大衆薬へ転換する「スイッチOJC」の大型商品が目白押し。
効き目が強いと副作用リスクも伴うため、利便性と安全性の両立をどう図るか、業者の自律性も問われている。


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